採用から定着まで一貫した助成金戦略の立て方【2025年版】

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 大阪で助成金受給額トップクラスの実績を誇る助成金情報局として、企業の採用・定着戦略と助成金活用の統合的アプローチについて解説します。2025年度は助成金制度が大きく見直され、特に人材確保と育成に関する支援が強化されています。本コラムでは、最新の制度情報に基づき、採用から定着まで一貫した助成金活用の戦略を提示します。

1.助成金活用の全体像:採用から定着までのロードマップ

 人材戦略における助成金活用は、単発の申請ではなく、採用から定着まで一連の流れとして捉えることが重要です。2025年度の助成金制度は、以下の3つのフェーズで戦略的に活用できます。

フェーズ1:採用段階

フェーズ2:正社員化・処遇改善段階

フェーズ3:人材育成・定着段階

2.2025年度の重要改正ポイント

キャリアアップ助成金の大幅改正>

 2025年4月から、キャリアアップ助成金正社員化コースに重要な変更がありました。

支給対象者の区分新設

従来は全ての非正規雇用労働者が対象でしたが、「重点支援対象者」と「それ以外」に区分されました。

重点支援対象者の定義:

  • 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
  • 雇入れから3年未満で、過去5年間の正規雇用期間が1年以下、かつ過去1年間正規雇用でない者
  • 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の訓練修了者

支給額の変更

重点支援対象者:

  • 有期雇用→正社員:80万円(40万円×2期)
  • 無期雇用→正社員:40万円(20万円×2期)

重点支援対象者以外:

  • 有期雇用→正社員:40万円(1期のみ)
  • 無期雇用→正社員:20万円(1期のみ)

この改正により、従来の半額となるケースが増えたため、採用計画と助成金戦略の見直しが必要です。

手続きの簡素化

キャリアアップ計画書の「認定」が不要となり、届出のみで手続きが完了するようになりました。ただし、計画書の提出自体は引き続き必要です。

人材開発支援助成金の拡充>

2025年度は賃金助成額が引き上げられ、企業の教育投資を後押ししています。

賃金助成の増額

  • 人材育成訓練:760円→800円(中小企業、1人1時間あたり)
  • 有期実習型訓練:960円→1,000円(中小企業、1人1時間あたり)

有期実習型訓練の要件変更

従来は正社員化の有無で助成率が分かれていましたが、2025年度からは正社員化が必須要件となり、助成率は75%に統一されました。

<両立支援等助成金の拡充と新設

出生時両立支援コースの拡充

第2種の支給要件が緩和され、第1種未受給でも申請可能になりました。男性育休取得率の向上を目指す企業にとって活用しやすくなっています。

新コース「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」の新設

不妊治療だけでなく、月経(PMS含む)や更年期障害との両立支援も対象となり、各30万円が支給されます。女性が長期的に活躍できる環境整備を支援する制度として注目されています。

3.戦略的な助成金活用のステップ

ステップ1:採用戦略と助成金の統合

採用段階では、求める人材像と活用できる助成金を事前にマッピングします。

検討事項:

  • 就職困難者(高齢者、障害者等)の採用可能性
  • 試用期間としてのトライアル雇用の活用
  • 有期契約からのスタートと正社員化の計画

ステップ2:正社員化のタイミング設計

キャリアアップ助成金を最大限活用するため、正社員化のタイミングを戦略的に設計します。

重要ポイント:

  • 有期契約期間を6か月以上確保(助成金の要件)
  • 重点支援対象者の条件を満たすかの確認
  • 正社員転換後の3%以上の賃金アップの計画
  • 2025年3月31日までの転換は旧制度(80万円)が適用される経過措置を活用

ステップ3:教育訓練と助成金の連動

人材開発支援助成金を活用し、体系的な教育訓練を実施します。

活用コース:

戦略的ポイント:

  • 訓練開始の6か月前から1か月前までに計画届を提出
  • 有期実習型訓練と正社員化を組み合わせることで最大限の助成を獲得
  • 訓練経費だけでなく、訓練期間中の賃金も助成対象

ステップ4:定着支援と両立支援制度の整備

優秀な人材の定着には、ライフステージに応じた両立支援制度が不可欠です。

制度整備のポイント:

  • 男性育休取得を促進する環境整備(出生時両立支援コース
  • 育児・介護と仕事の両立を可能にする柔軟な働き方制度
  • 女性の健康課題への対応制度(新設コース活用)

4.一貫した助成金戦略の実践例

ケーススタディ:中小製造業A社の事例

**企業概要:**従業員50名、製造業

課題:

  • 若手人材の採用難
  • 技術継承の遅れ
  • 女性従業員の離職

助成金活用戦略:

第1フェーズ(採用):

  • 若手人材を有期雇用で採用(6か月契約)
  • 若年層の早期離職を防ぐため、計画的な育成体制を構築

第2フェーズ(正社員化):

  • 6か月後、キャリアアップ助成金を活用して正社員化
  • 重点支援対象者に該当せず40万円の受給(1期のみ)
  • 正社員転換制度を新設し、20万円の加算を獲得
  • 賃金を5%アップし、処遇改善を実現

第3フェーズ(育成):

第4フェーズ(定着):

  • 両立支援等助成金を活用し、育児・介護支援制度を整備
  • 男性社員の育休取得を促進(出生時両立支援コース)
  • 女性の健康課題対応制度を新設(新設コース活用)
  • 柔軟な働き方選択制度を導入

結果:

  • 助成金総額:約200万円超
  • 若手人材の定着率向上
  • 女性従業員の継続就業率改善
  • 社内の技術継承体制の確立

5.助成金申請の実務ポイント

計画的な準備の重要性

助成金申請は事前準備が成否を分けます。

必須準備事項:

  • 就業規則の整備(正社員・非正規社員の明確な区分)
  • 賃金規定の整備と3%以上の昇給設計
  • 訓練計画の策定と事前届出
  • 各種制度の就業規則への明記

書類管理の徹底

必要書類の例:

  • 出勤簿、賃金台帳(正社員転換前後6か月分)
  • 雇用契約書、労働条件通知書
  • 訓練実施記録、受講者名簿
  • 訓練機関との契約書、領収書

期限管理の厳格化

助成金申請には厳格な期限が設定されています。

主な申請期限:

  • キャリアアップ助成金:正社員化後6か月分の賃金支給日の翌日から2か月以内
  • 人材開発支援助成金:訓練開始の1か月前までに計画届提出
  • 両立支援等助成金:各コースの要件達成後、定められた期間内に申請

期限超過は一切受理されないため、社内でのスケジュール管理体制の構築が必須です。

6.助成金活用の注意点

不正受給のリスク

助成金は年間約200件の不正受給が発覚しており、審査は厳格化しています。

不正とみなされるケース:

  • 実態と異なる書類の提出
  • 要件を満たしていないのに申請
  • 架空の訓練実施
  • 親族への不適切な支給

労働法令の遵守

助成金受給の大前提は、労働関係法令の遵守です。

確認事項:

  • 36協定の締結と届出
  • 労働時間管理の適正化
  • 最低賃金の遵守
  • 労働保険料の納付

雇用維持の要件

特定期間中の会社都合による解雇や退職勧奨があると、支給対象から外れる可能性があります。助成金受給後も継続的な雇用維持が求められます。

7.2025年度の助成金トレンド

賃上げ支援の強化

最低賃金の大幅引き上げ(全国平均1,118円、63円増)に対応し、業務改善助成金の予算が大幅増(8.2億円→22億円)となりました。生産性向上設備投資と賃金引上げを組み合わせた取り組みが支援されています。

リスキリング支援の拡充

人材開発支援助成金の予算は623億円と高水準を維持。DX人材育成やリスキリングへの支援が重点化されています。

両立支援の多様化

育児・介護だけでなく、不妊治療や女性の健康課題への対応も助成対象となり、ライフステージ全般をカバーする支援体制が整備されました。

8.専門家活用のメリット

助成金申請は複雑で、最新情報のキャッチアップと正確な書類作成が求められます。

社会保険労務士活用の利点

主なメリット:

  • 最新の制度情報と要件の正確な把握
  • 受給可能性の高い申請書類の作成
  • 労働局とのやり取りの代行
  • 本業への集中による機会損失の防止
  • 不正受給リスクの回避

選定ポイント:

  • 助成金申請の豊富な実績
  • 最新制度への精通
  • 地域の労働局との良好な関係
  • 包括的な労務管理サポート体制

おわりに

 採用から定着までの一貫した助成金戦略は、単なる資金調達ではなく、企業の人材マネジメント全体を最適化する取り組みです。2025年度の制度改正は、より実効性の高い人材投資を促進する方向に進化しています。
 大阪で助成金受給額トップクラスの実績を持つ私たちは、これらの制度を最大限活用し、企業の成長と従業員の幸福度向上の両立を支援してまいります。助成金は申請すれば必ず受給できるものではありませんが、適切な準備と計画的な実行により、確実に受給できる可能性を高めることができます。人材への投資は企業の未来への投資です。助成金を戦略的に活用し、持続可能な成長を実現していきましょう。


参考
 ・(厚労省)「キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度)」
 ・(厚労省)「人材開発支援助成金」公式サイト
 ・(厚労省)「両立支援等助成金」公式サイト
 ・(厚労省)「雇用関係助成金」公式サイト

本コラムは2025年10月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省の公式サイトまたは管轄労働局でご確認ください。

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