助成金の申請を成功させるためには、必要な書類の準備が不可欠です。初めて申請する事業主にとっては、どの書類を用意すべきか分かりにくいこともあります。本コラムでは、助成金申請に必要な基本的な書類とその作成のポイントを解説します。
1.助成金申請に必要な基本書類リスト
助成金によって必要な書類は異なりますが、一般的に以下の書類が求められます。
(1)労働条件通知書(雇用契約書)
労働者との労働条件や雇用関係を示す書類で、いずれかの提出が必要です。労働条件通知書と雇用契約書は、労働者に対して雇用条件を明示する役割を果たします。
<ポイント>
労働契約の期間(期間の定めの有無)、就業場所、始業及び終業の時刻、休憩時間、賃金の決定、計算及び支払の方法といった、所謂絶対的明示事項が記載されているかを確認し、その他賞与や昇給、退職金、更新上限の有無といった雇用形態による違いに注意しましょう
(2)賃金台帳
賃金台帳は、従業員に対してどのように給与が支払われているかを証明する書類で、適切な賃金支払いの履歴を確認するために必要です。
<ポイント>
給与支給日、支給額、各種控除の詳細が明記されているかを確認し、申請に必要な期間のデータを用意しましょう。その際に、各種支給手当が就業規則に記載があるか、出勤日や労働時間が出勤簿(タイムカード)の記載と合っているか、欠勤控除がきちんとなされているかなど確認が必要です。
(3)出勤簿・タイムカード
出勤簿やタイムカードは、従業員の勤務状況を示すために必要です。正確な労働時間の記録が申請書類の裏付けとして使用されます。
<ポイント>
出勤時間や退勤時間、残業や休暇の状況が正確に記録されているかを確認し、正確なデータを揃えましょう。
(4)雇用保険番号、事業所番号、労働保険番号
労働者が雇用保険に適切に加入していることを証明するために、雇用保険番号や事業所番号、労働保険番号が必要です。社会保険や雇用保険の加入証明書そのものは不要です。
<ポイント>
労働保険番号や事業所番号などの情報は正確に申請書類に記入し、事前に確認しておくことが重要です。
(5)就業規則
就業規則は、従業員の勤務条件や規律に関する企業のルールを示す重要な書類です。適切な労働環境の整備を確認するために必要です。
<ポイント>
労働基準法に基づいた最新の就業規則を用意し、労働条件に関する情報が正しく反映されていることを確認してください。
(6)助成金の種類に応じた追加書類
申請する助成金の種類によって、特定の書類が追加で必要になる場合があります。例えば、人材開発支援助成金では、訓練にかかる経費を事業主が負担していることを確認するための書類(領収書又は振込通知書など)が必要です。
2.書類作成のポイント
次に書類作成の際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。
(1)不備を防ぐためのチェックリスト作成
書類に不備があると、申請が受理されなかったり、再提出を求められることがあります。助成金の申請要件に基づいたチェックリストを作成し、すべての書類が揃っているか確認しましょう。助成金によっては専用のチェックリストが労働局のHP上で公開されています。
(2)デジタル書類の活用
オンラインでの助成金申請が増加しているため、追加提出の際、書類のデジタル化(メール添付での提出)を求められることが多いです。必要な書類をPDF形式で保存し、提出時に素早く対応できるよう準備をしておくことをお勧めします。
3.助成金申請後の書類管理
申請後も、提出した書類のコピーやデジタルデータは適切に管理しておくことが重要です。審査過程で追加の確認や再提出を求められることがあるため、一定期間保管しておくようにしましょう。
4.まとめ
助成金申請に必要な書類を正確に準備することで、スムーズな申請が可能になります。今回紹介した基本的な書類リストと作成のポイントを参考にし、必要な書類を整え、準備を進めましょう。